2023年を振り返って

ブログの更新は案の定止まってしまったので読んだ本をまとめて記録する。メモに下書きを残していたものは下書きのままそのまま公開してしまおうと思う。少し長くなりそうだ。

9.風の歌を聴け(村上春樹、1979)

面白いと感じたところ
・鼠との掛け合い
鼠と軽い冗談を言い合ったり、稀に真剣に語りあったりといった僕と鼠の掛け合いが面白かった。自分には思いもつかないようなジョークを飛ばし合う、けどその中に鼠の苦悩が見え隠れする気がする。
・話のテンポ
とにかく全体的に短い文章で読みやすい、と同時に理解が難しい部分もある。どういうことなのかもっと説明してほしいと感じる部分もあるがあえて説明しないところも良さなのだろうと思う

要約
東京の大学に通う僕は、帰省中にその街で暮らす鼠とバーで酒を飲みながら過ごす。その中で新しい女性と出会ったり、過去を振り返りながら僕と鼠それぞれが葛藤する物語。

感想
やっぱり本の感想はすぐ書かないとダメだと思った、全体的にぼんやりとした感想だ。私はすぐに忘れるし、ましてや続きも読んでしまった後なのでこの作品単体に対しての評価が難しくなってしまっている。この小説は不思議だ。何を言いたいのかいまいち掴みきれなかったが、読みだすと一気に最後まで読んでしまった。小説全体に漂う哀愁、孤独、喪失感みたいなものが私を惹きつけたと思う。そしていろんなものは通り過ぎていくものとして、受け入れて、街を出て東京に戻る終わり方もいいと思った。時間をおいて再読したい。

10.1973年のピンボール(村上春樹、1980年)

面白いと感じたところ
・僕がピンボールに取り憑かれたようにのめりこむところ
何かにハマって堕ちていく様子、そしてそれが無くなって後にも追い求めていく様子の描写が良かった。自分も感じたことがあったし、みんなも感じたことがある感情だと思う。人間の弱さみたいな部分だとも思う。最後の擬人化しての別れのシーンも良かった。
・僕と鼠の2視点で物語が進行するところ
1973年のピンボールが村上春樹の2作目の長編のようだが、この2視点での進行はこの先もよく使われている面白い構造だと思う。
・鼠が街を出ていくところ
鼠が苦悩しながら彼女とも別れ、ジェイにも別れを伝え、街を出ていく。そこまでの過程に共感も感じたし、何度もジェイに切り出せないシーンもリアルで読み応えがあった。

要約
鼠と僕の2つの物語。鼠は街を出ていくかどうかの葛藤を抱えながらついにはあらゆる関係に別れを告げて、この街から出ていく。僕は双子の女の子と暮らしている。相棒との翻訳も順調に進んでいるが、ある日からピンボールにのめり込むようになる。そんな僕のピンボールと双子との別れの物語。

感想
ピンボールにハマっていく様がかつて自分がオンラインゲームにのめり込む姿と重なって、非常に共感できたし、ゲームセンターが無くなった後も僕がなんとかして追い求める姿に心惹かれた(この表現が適切かわからない。)また、鼠が自分の街に対して感じる閉塞感、今後の漠然とした不安というのも共感ができ、今の自分に刺さる物語だった。

11.羊をめぐる冒険(村上春樹、1982)
俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさや辛さも好きだ。夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。

面白かったところ
・羊の謎を追うという訳の分からない物語
羊を追いかける。これは読者にも訳が分からないことだし、物語の中の僕にとっても怖い人に羊を追いかけろと言われて訳が分からないと思う。これが読者と僕の感情を同期させる装置としてうまくこの作品に働いていると思う。羊の謎について徐々に明かされていく様子を僕と同じ気持ちで読者が楽しめるようになっていると思う。(あくまで私の感想だが)
・鼠との別れ
これは読んでいて衝撃的、いやある程度は予測できた展開だったかもしれないが、鼠が羊を抱えながら自殺するという展開には驚かされた。冒頭に書いた、鼠の言葉が私は好きだ。風の歌を聴けの頃から鼠が抱え続けていた悩みに対して、彼が羊に乗っ取られた末に最後に掴んだ答えだと思う。その答えに私は感動した。
・エピローグ
鼠が別荘を爆破し、それを列車から眺める僕。ジェイズバーの共同経営者になる僕と鼠。すべてが終わった後で砂浜で号泣する僕。非常に美しい物語の結びだと思った。これまでの3部作の僕と鼠の結びに相応しかったと思う。

12.ダンス・ダンス・ダンス(村上春樹、1988)
でも踊るしかないんだよ。それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが関心するぐらいに。

羊をめぐる冒険の続編。羊男の上のセリフが印象的、この物語が今も心の支えになっている。いろんなものを失った僕がそれでもなんとか踊り続ける物語。

13.アフターダーク(村上春樹、2004)

深夜の街の若者たちの人間模様を描く物語。

14.スプートニクの恋人(村上春樹、1999)

急に消えた友達以上恋人未満の女の子を探す物語。

15.レキシントンの幽霊(村上春樹、1996)

短編集。氷男の話が印象的だったことは覚えている。

16.グレートギャツビー(スコット・フィジルランド著、村上春樹訳、2006)

ギャツビーのキャラクター性に惹かれ、最期が切なすぎる物語。(読了まで何回か挫折した)

17.カンガルー日和(村上春樹、1983)

短編集。子供のためにクマの物語を描いてあげる話が印象的だった

18.星の民のクリスマス(小谷田奈月、2013)

おそらく久しぶりに村上春樹以外の日本作家の本を読んだ。世界観の作り込みと終わりもハッピーで良かった。

2023年を振り返って

他にも何か読んでいるとは思うし、順番も一部違うかもしれないが、とにかく村上春樹に魅了された1年だった。今年は多くの物語に支えられた。

小説家になりたい。1年通してなんとなく思ったことだ。(漫画を描きたいと思ったこともあったが、とてもこれから描けるようになることは難しい)そのためにもまずは2024年は小説を200作品は読みたい。そのためにも週休3日で1年間今の職場はなんとか継続したい。仕事を続けながら本を多く読み、物語の種を色んな人を観察しながら自分の中で育てたい。

2024年、とにかく物語を読む、周りをもっと観察する。

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