要約
主人公の周りで奇妙な物事が立て続けに起こっていく。飼い猫が消え、謎の女から電話がきて、ついには妻が家出をする。何か裏があると考えて、妻を取り戻すために奮闘する物語
面白かった所
正直3部は雑誌の切り抜きや回想シーンなど、読み飛ばしてしまった部分も多いので私はこの物語を正しく把握できていないかもしれない。面白いと思ったポイントを以下にまとめる。
・サブキャラクターの個性豊かさ
前に読んだノルウェイの森よりも登場キャラクターが非常に多くて驚いた。そしてどのキャラクターも魅力的である。3部それぞれ別のキャラクターが取り上げられるためそれぞれがまるで別の小説のように楽しめた。またそれぞれの物語(背景)が交錯して伏線回収につながっていく様は見事だと思う。
・多くは語らない
作品中、解決しない謎も多いように思う。シナモンは結局その後どうなったかも不明だし、『汚した』についても具体的には語られない。あの空間も具体的に語られなかったが、それこそ小説の楽しみなのかもしれないと感じた。自分の解釈、想像力を掻き立てさせられているように仕向けられていると思う。解説の記事などを検索したい欲に駆られるが、それをすると自分の想像力が損なわれそうなので今はまだやめておく。そして読んで1日経っても私はこの物語を消化できていない気がする。再読して、自分なりの解釈を見つけたら追記したい。
・綿谷ノボルとの直接対決
クライマックスのあの空間での一連の流れは非常に先が気になる、ドキドキする展開の連続だったと思う。ある程度は予想がつく展開であったし、王道の展開でもあるとは思うが、実際に刃物とバットで戦うシーンはもちろん、人々がモニターを眺めて、そこで主人公が犯罪を起こしている様が流れている模様などは恐怖を感じたし、早く次を読みたいという気持ちを駆り立てる。