読んでから時間が経ってしまい、手元に本がないため詳細は割愛するが、今でも印象に残っているものを書きたいと思う。
・2つの物語が同時進行で進む
序盤は状況説明などもほとんどないので、最初の2章分ぐらいは理解をすることが難しく、入り込めなかったが主人公の精神世界なんじゃないかとなんとなく理解が進むと同時進行していくことを受け入れられたし、読みにくさも感じなくなってきたので書き方がすごいと思った。また、もちろんだが、どちらの話も面白いし、徐々にリンクしていくので徐々に境界が曖昧になり混乱していく主人公の気持ちを少し共感できるようにもなっているように思う。
・魅力的な女性キャラ
村上春樹さんの書く作品共通して女性キャラが魅力的に見える。特に私は現実世界の図書館で働く女性が好きだった。細身なのに大食いとか、夫を亡くしたストーリーなど細かい点までしっかりストーリーが詰まっているからかもしれない。精神世界の図書館司書も、博士の孫娘も、それぞれキャラがしっかりしており、魅力的だと思う。
・バッドエンドともハッピーエンドとも言えないストーリー
主人公は現実世界から消えることが物語中盤で決定づけられるが、怒りも悲観もせず、残された時間をどのように使うかを考えるシーンはなんだか現実みにあふれているようで面白く読めた。もしかしたら自分も最後の1日は似たような過ごし方をしてしまうかもしれないなと思いクスッとしてしまった。
反対に精神世界ではクライマックスに向けて盛り上がっていく。影のキャラクターが私は好きだった。どうしてだろう。最後主人公がこの世界を作ったのは自分自身であることに気づき踏みとどまり、影はそれを気づいていたラストも上手く話がまとまっていて読み応えがあったと思う。